
8/12に放送された【プロフェッショナル 仕事の流儀】をまとめた記事です。
仕事の流儀、今日はジェラート職人・柴野大造(しばのたいぞう)さんです。
石川県野々市で「マルガージェラート」というお店を営む職人さんです。
全国から多くのお客さんが来店して行列が絶えない人気店です。
◾️マルガージェラート
http://www.malgagelato.com/
目次
世界一のジェラートを作る男
パイン×セロリ×リンゴ
42歳、柴野さんがイタリアのコンクールで見事優勝!!
それはなんと、誰も使おうとしなかった食材「セロリ」を使うことに成功。
今まで作ってきた2000種類の中から選び出した逸品でした。
その時の優勝作品が「パイン×セロリ×リンゴ」という作品。
一見、変な組み合わせに感じるこのジェラートが、コンテストで世界一を獲得しました。
セロリが嫌いな人が、セロリを感じながらも美味しいと言える奇抜な組み合わせ。
この発想がすごい、そして斬新です。
ジェラートの生命線は水分量
なめらかなジェラートを作るために素材の水分量の比率が重要なのです。
水分量:65〜75%
固形分:25〜35%
が一般的な比率。
しかし柴野さんは1g単位のズレも許さない完璧な配分で完璧を求めます。
全ての素材の水分量を測り、一つのジェラートを作り上げるのに最適な水分まで測ります。
そこまで緻密に計算するのは
「自分が天才ではないから」
ただその思いなんだそうです。
自分に自信がないから、ちゃんと根拠を持って作り上げないと感動する作品は作れないと、柴野さんは言います。
そして、一度作った試作品は自分だけでなく
家族・配達に来た人・お店のスタッフなど、多くの人に食べてもらって意見を求めます。
人の意見を大事にして自分のプライドを持ちすぎないことが素敵な姿勢だと思います。
アスパラを使った新作ジェラート作り
農家の池口さんから最高に美味しいアスパラを仕入れた柴野さんは、早速アスパラジェラート作りに取り掛かります。
新たな新作ジェラートを作り出すそうです。
驚きを求める柴野さんにとって、アスパラジェラートは驚きがないとのこと。
やはり野菜をジェラートにしていくのは難しいようです。
香りも消え、素材感が失われてしまいました。
バナナを加えたことで香りはよくなったが、アスパラの繊細な旨味が消えます。
このように、素材の味と香りを残し、感動を与えていくのは本当に難しいみたいです・・
そして柴野さんは奇策に出ます。
今まではアスパラの旨味が逃げないよう、レンジで温めて使っていたアスパラですが
今度はあえて茹でる方法に出ました。
そして、その茹で汁を使ってアスパラの甘みをしっかり残し、香りも残した最高のジェラートが完成しました。
柴野さんはいつも壁にぶちあったって逃げたい時こそ、素材と向き合い、生産者さんの顔を思い浮かべるそうです。
ストーリーを形に
そうした一つ一つの思いが形になり、お店のショーウィンドウに並んでいくそうです。
柴野さんの生い立ち
石川県で生まれ、父が1から築きあげた酪農農家で育ったそうです。
その頃から父の背中を見て、牛の世話をして成長してきました。
そんな中、ある想いが芽生えたそうです。
それは、この環境から抜け出したい!だったそうです。
365日動物の面倒を見ているにも関わらず、生活が一向によくなりません。
そんな生活に嫌気がさして東京の大学に進んだそうです。
酪農の勉強をすると親に嘘をつき、4年間遊び呆けていたそうです。
そして、卒業後に実家に戻り牧場の手伝いをする中で、初期投資800万円でジェラート屋さんをする話が舞い込んで来たそうです。
しかし、なんの知識もなく見よう見まねでやってきたジェラート屋さんは売上はどん底。
家庭の借金を返すために最後の手段として選んだお店が、借金を膨らませる結果になってしまいました。
そして、父の牧場は倒産。
もっとジェラートを勉強してしっかり売り上げていれば、こんな結果にはならなかった・・
その時、柴野さんが覚悟を決め、50万円の借金を重ねてイタリアに飛んだそうです。
そして、もう逃げないという覚悟のもと、イタリアで結果を出し、日本に戻り自分のお店を成功に導いたんだそうです。
やはり成功者は大きな挫折と究極の覚悟で成り立っていますね。
みんながみんな天才じゃないというのを思い知らされます。
本当に刺激を受けます。
お店の生命線「ミルクジェラート」の改良に挑む
お店の看板メニューでもあり、1番人気の商品にメスを入れるのは、自分の人生を大きく変えることだと、柴野さんは言います。
新たなレシピをいくつか試し、試作を繰り返します。
転化糖を入れるもの、牛乳感が強いもの、色々試すが決定打に欠けるとのこと・・
目指したいのは「洗練されたミルク」
エレガントなジェラートだと、柴野さんは言います。
悩みに悩んだ末、父に相談して作品に取り込んだのが「モッツァレラチーズ」
これは酪農を辞めた父が人生の生きがいにしているものです。
その父が作るモッツァレラチーズをジェラートにしていこうというのです。
水分量のバランスを見出すのが難しく、固すぎる・柔らかすぎるの繰り返し・・
なんどやってもうまくはいきません。
しかし柴野さんは逃げません。
そしてこう言います。
何やってもうまくいく人なんていないと思う
うまくいかなくて、もがいて、苦しんで、それでも前を向いて逃げない人がかっこいいと思う
そして、そんな人になりたい
そして何度も試作し、父に食べてもらったジェラート。
父の感想は
牛乳感がしっかりあって濃厚で美味しい
その言葉を受け、まずはこの味で勝負していくことを決めたそうです。
今後、もっと良くなっていくものですが、今まで疎遠になっていた父と歩みを進めたジェラートに仕上がったのは特別な思いがあるようですね。
そして最後に
柴野さんにとってのプロフェッショナルとは
自分の気持ちに正直で誠実で、向かっていく人
弱い自分から逃げなかったことで結果が付いてきた柴野さんならではの言葉です。
今日はここまで!!